医政研究委員会答申 2008.3
神戸市東灘区医師会 2008.3
高齢者医療のあるべき姿
PDF 版
答申書 高齢者医療のあるべき姿 ( PDF 566KB )
早わかり 後期高齢者医療制度 ( PDF 72KB )
後期高齢者医療制度に関する裏 Q & A ( PDF 127KB )
HTML 版 ( ウェブ閲覧用 ) 目次
第一部
1. はじめに
2. 高齢者医療とは
3. 後期高齢者医療制度
4. 高齢者医療制度の登場した背景と現状の医療実態
5. 結論
6. まとめ
図表
第二部
75 歳の誕生日を2 週間後に控えたある日、あなたに役所から一通の手紙と一枚のカードが送られてきます.....
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小○純○郎様
75 歳のお誕生日おめでとうございます。
小○純○郎様は、平成20 年○月○日から後期高齢者医療制度の対象となります。
つきましては、それまでお使いになられていた健康保険証は使えなくなりますので、代わりに同封しました後期高齢者医療証をお使いください。
ご注意
・ まず、かかりつけの医療機関として主治医の診療所を一か所決めてください。
・ 同封してある後期高齢者医療証の裏に、お決めになられた診療所名をあらかじめお書きください。
・ 医療が必要になったときは、その医療機関へこの後期高齢者医療証を持って受診してください。
・ 主治医の診療所名が書かれていないものは無効です。
○○区区民生活部税務保険年金課
〒102-8688 東京都○○区○○**-**-**
電話 03-****-****
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あなたは75 歳になられる日から、それまで受けていた医療を受けることはできなくなります。今まであなたは、「血圧はここ」、「目はここ」、「腰はここ」というように、それぞれ専門の医療機関に自由にかかることができました。しかしこれからは、どんな病気であっても一人の主治医の医療を受けることになります。もう、あなたが自由に医療機関を選ぶことはできません。
また、あなたは残念ながら、いずれ最期のときを迎えなくてはなりません。そのときを、あなたはご自分の家で迎えなければなりません。
あなたが最期のときを過ごす場所はありますか?
あなたの面倒を見てくれる家族はおられますか?
あなたのために、あなたの家族は会社を辞めたり、自由に外出できなくなるでしょう。
今お話ししたことが、平成20 年4 月から現実になろうとしています。それが「後期高齢者医療制度」です。
75 歳の誕生日を2 週間後に控えたある日、あなたにこの制度にもとづく「医療証」が送られてきます。そしてそれまでの健康保険証は使えなくなります。
ご存じですか? 平成 20 年4 月から「後期高齢者医療制度」という悪法が施行されます。75 歳になった日から、皆さんは後期高齢者医療制度の対象となります。それまでの健康保険証は使えなくなり、新たに後期高齢者医療証が郵送されてきます。75 歳以上で医療制度が変わるって言われても誰が、どんな理由で決めたのでしょう? 74 歳の人と75 歳の人で、どこがそんなに違うのでしょう? なぜ区切られてしまうのでしょう? でも、この制度、もう始まります。自分がかかりたい医者に、これからは気軽に行きにくくなるでしょう。しかも保険料は高くなってしまいます。さらに保険料を払わなければ、後期高齢者医療証を没収するとまで「お国」は言っています。こんな制度「うば捨て山制度」じゃないですか!

始まりは、高齢者医療はお金がかかりすぎるという政府の考え方。でも、年をとれば体のあちこちにガタがくる。医療費がかかるのは当たり前です。戦後、日本復興のために身を粉にして働いてきた人たちが、年をとったら年金を取り上げ、今度は自由に医療を受ける権利すら奪おうとしているんですよ、この国は。
政府は「医療費年間32 兆円。税金からその全部を払ってやっている。」みたいなこと言っています。でも、政府はそのうちの8 兆円しか出していない。残りの24 兆円は? 私たちが出した健康保険料などのお金です。政府が出してやったと言っている8 兆円だってもとをただせば私たちが払った税金です。後期高齢者に、ふさわしい医療を受けてもらうためですって? 笑わせちゃいけません。年寄りに医療費は使わせないという魂胆です。
だからまず、この後期高齢者医療制度という悪法をすぐになくしましょうというのが我々の一つ目の提案。でも、今の健康保険をそのまま続けていくためには充分なお金が集まっていないのは事実です。その理由は上に書いた24 兆円の内訳。健康保険組合は老人医療のために多額のお金を吸い上げられていたんですね。でも、「うちの会社は若い社員ばかりで老人医療に関係ないからそんなお金は払わない」と、そういう言い分がまかり通っている。

じゃあどうすればいいか。社会保険組合も国民健康保険組合も健康保険組合も全部なくして一つにして、国民全体が同じ公的医療保険に加入すればいいんです。これが私たちの二つ目の提案。でも、これが上手くいかない。健康保険組合はエゴでがんじがらめになってしまっているから。それでは医療費の問題はどうしましょう? 世界の他の国を見ならって政府は医療費をもっと出さなければならないんです。
お爺さんお婆さんにお訊ねします。人生の最期は病院で迎えたいですか? ご自宅で家族に看取られたいですか? でもお子さんたちだって忙しいんです。残念ながらあなたを助ける力はありません。国だって助けてくれません。国はねえ、あなた達お年寄りに病院でお金のかかる医療を受けてもらったら困るんです。家でひっそりと、お金をかけずに死んでいって欲しい、とそう考えているんですよ .....
2008 年3 月
東灘区医師会医政研究委員会
西口 郁、赤松俊浩、東 章悟、阿部諭吉、小屋裕司、高倉正裕、松本浩彦、深山鉄平、村田正典、松本 卓
高齢者医療のあるべき姿
第一部
高齢者にとって理想の医療とはどのようなものであろうか。充実した人生を送り、天寿を全うできるよう、老化や死を見つめ、個々の価値観や社会的な側面も考慮した医療が提供されることが必要であろう。今回我々は高齢者医療のあるべき姿を考え提示する。医学的な側面が重要であることは言うまでもないが、医療を提供する際の経済的側面も充分に考慮されなければならない。
2008 年 4 月から新たに施行される後期高齢者医療制度は高齢者や高齢者を取り巻く家族にとって理想的な医療制度とは言い難い。厚生労働省が提案している医療制度改革では、増加し続ける医療費を抑制する政策の中で、高齢者にかかる医療費を削減することが最重要であるとして、それを実現するための制度が次々に実行されようとしている。今まさに国民を無視した政策が進行し、憲法第二十五条「生存権」が脅かされかねない状況を迎えようとしている。この危機的状況をどのように打開し、高齢者が日々健康に過ごし、安らかな最期の時を迎えることができるような医療制度の実現に向け、後期高齢者医療制度の問題点につき考察する。
まず、高齢者医療を考える場合、高齢者とそれ以外の成人を区別する必然性を考えなければならない。小児や女性については小児科学、婦人科学というそれぞれの特有の疾患を扱う医学の分野がある。現在わが国の平均寿命は男性 79.0 歳、女性 85.8 歳で過去最高を更新し、65 歳以上の比率は 2005 年の国勢調査で 20% を越え、2015 年には 25% になると推定されている。青壮年者とは異なる疾患特性を有する高齢者に特化した医学を研究、実践していかねばならない。医療従事者は全力を傾けて「死」を遠ざけなければならないが、この世に生を受けた限り「老化」や「死」を避けることはできない。高齢者医療は充実した人生を送り、天寿を全うするために、医学的にどのような援助ができるかを考え、医学の知識や技術を高めるのみならず、老化や死を見つめつつ、個人の価値観、思想、信仰を尊重し、文化的、社会的側面も考慮した医療を提供することである。国連では 60 歳以上を、WHO では 65 歳以上を高齢者と定義している。2004 年に行われた内閣府の調査では、高齢者は「およそ 70 歳以上」 48.7%、「およそ 75 歳以上」 12.9%、「およそ 80 歳以上」 6.0% となっており、これらを合わせると 67.6% と約 7 割に達しており、日本では現在 70 歳以上が高齢者であると考えている人が多い。
高齢者は身体機能や健康状態に関する個々のバラツキが大きく、年齢で高齢者と青壮年者を区別することに科学的根拠があるとは思えないが、それ以外に身体能力や健康状態を簡便に判断し、評価する方法がないため、年齢による高齢者の定義について考えてみたい。疾患構造の変化を考えると、1900 年代初頭は急性感染症が問題になり、1920 年頃は結核による慢性感染症が問題であったが 1955 年 ~ 1960 年頃から脳卒中、心筋梗塞、癌による死亡が増えてきた。1980 年代以降は人口の急激な高齢化とともに遅発退行性病変(寝たきりになる病気)の増加が問題になっている。
従来、健康状態を示す指標として広く「平均寿命」が用いられてきたが、上記の遅発退行性病変が増加したため、人生の中で支援や介護を要しない健康な期間を「健康寿命」と定義している。寝たきりの 3 大原因は脳血管障害、認知症、骨折であるが、WHO によると日本人の健康寿命は男性 71.4 歳、女性 75.8 歳で、死を迎えるまでに不健康な期間は男性 7 年、女性 10 年となる。これによると男性が約 70 歳、女性が約 75 歳を過ぎると、支援や介護が必要となり、医療を必要とする可能性が高くなることを示している。健康寿命から考えて、男性 70 歳、女性 75 歳以上を高齢者医療の対象と考えるのがよいのではないだろうか。
1961 年に国民皆保険が達成されて、日本の医療は、国民が、いずれかの公的医療保険制度に加入し、保険料を納め、医療機関で被保険者証を提示することにより、一定の自己負担で必要な医療を受けることが可能であるという、世界に誇れる制度を採用している。世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成し、WHO の 2000 年の報告では、日本の保健システムの到達度は世界第 1 位と評価されているが、医療費の GDP に占める割合は約 8% で主要国の中では下位に位置している。
急速な高齢化や医療の高度化に伴い、国民医療費は増加傾向にあり、1999 年以降 30 兆円を超え、2003 年度には 31.5 兆円、2004 年度には 32.1 兆円に達し、国民医療費の約 1/4 に当たる約 8 兆円は国庫から投入されている。厚生労働省はこのまま推移すれば 2025 年度には 65 兆円に達すると試算している。
厚生労働省は今後、団塊の世代が 60 歳代に移行することもあり、高齢者医療費を中心に医療費の大幅な増加が見込まれ、現状の医療保険制度の継続が困難であり、新たな医療制度の構築が大きな課題であるとし、2006 年 6 月に医療制度改革関連法を成立させ、生活習慣病予防、医療提供体制、医療保険制度に関する改革を行うとしている。
具体的な政策として、生活習慣病予防や長期入院の是正により医療費の適正化を進めるというものであり、その実現のため、国および都道府県が協力して医療費適正化計画を定め、中長期的に医療費の適正化と称する削減を行うこととした。また、現在の高齢者医療に関しては、被用者保険において老人保健制度および退職者医療制度への拠出金の負担感が依然重く、収入の約 4 割が拠出金として支払われており、国民健康保険においては、平成 16 年度の実質赤字は 3,284 億円となり、改善が見られない状況にあるため、75 歳以上の後期高齢者を対象とした新たな医療制度の創設や、都道府県単位を軸とした保険者の再編・統合など、医療保険制度体系を見直すこととした。
人口の高齢化とともに有病率は増え、医療技術の進歩とともに医療費が増えることは避けられない。2002 年のデータでは、医療費のうち 65 歳以上が 49%、70 歳以上が 38% を占めている。政府は医療費の歳出を減らすことが喫緊の課題であるとしており、特に高齢者の医療費を削減することが効率的に医療費の削減に結びつくと考え、医療政策を立案している。中でも高齢者の終末期の入院医療費を抑制することが重要であるとしている。良質な医療を提供するためには、充分な医療費が必要である。しかし、厚生労働省が医療政策を立案する際には、先に財源の総額が決定されているため、その枠内でしか医療政策を考えることができない。疾病動向や患者数を解析し、患者が求めている医療を把握し、それに答えるための医療費を算出し、国家予算の中からいかに医療費を確保していくかを考える事が、厚生労働省が果たすべき役割であると我々は考える。
入院費を抑制するために、2006 年12 月、厚生労働省は 2011 年度末までに介護保険適用の療養病床を廃止することを含む「療養病床の将来像について」を取りまとめた。療養病床数の削減や療養病床入院費の引き下げや在宅療養支援診療所への診療報酬点数の加算など様々な政策が立案され、在宅医療への転換が重要であるとしている。今までは家族による介護が医療コストとして計算されておらず、在宅医療が入院に比べ安価だと思われていた。従来は介護の主体であった女性が仕事を持ち、核家族化が進んでいる現在の社会状況では、家族の介護による医療費の削減は以前ほど期待できなくなっている。日本では、終末期における死亡場所は病院が約 81%、自宅が約 14% という状況であり、終末期医療が極端に病院に偏っているという事実は否定できない。
入院医療が中心であった従来の高齢者医療に加え、在宅医療という選択枝が増え、個人の尊厳を重視できる環境が整うことは望ましいことであるが、在宅医療は入院医療に比べ医療を受ける高齢者の生活の質が高くなるとは考えにくい。厚生労働省の施策では、入院が必要な患者まで在宅医療に誘導され、充分な医療を受けることができなくなる。また、在宅医療は入院医療に比べ集約した医療が行えないために、時間やマンパワーに無駄が多く、むしろ費用のかかる医療である。在宅医療への性急な転換は愚策である。
前章で高齢者の入院医療費抑制政策について述べたが、本章では入院外医療費抑制の代表的な施策であり、2008 年4 月から施行される後期高齢者医療制度について言及する。「高齢者の医療の確保に関する法律」において、後期高齢者の医療制度に関しては、現在以下のように決定している。
( 1 ) 75 歳以上の高齢者と一定の障害を持つ 65 歳以上の者を対象とする。( 約1,300 万人)
( 2 ) 保険者は全市町村が加入する都道府県単位の「広域連合」とする。
75 歳以上のすべての者は、現在加入している国民健康保険や健康保険組合などから抜け、都道府県単位で新たに設立される「広域連合」に加入することになり、現在は被扶養者で保険料負担がない者も含めて、すべての後期高齢者が保険料を支払うことになる。保険料は都道府県ごとに決められ、原則として、年額 18 万円以上の年金受給者は年金から天引きされ、加入者全員が支払う均等割(低所得者世帯では 7、5、2 割の軽減措置あり)と所得に応じて負担する所得割を合わせた額になる。保険料の上限は年額 50 万円と定められているが、2 年ごとの改訂の度に保険料の見直しが行われる。厚生労働省では当初一人当たり年額平均 74,400 円と試算していたが、2007 年 10 月に再度試算したところ、一人あたり年額 80,600 円となり、また都道府県の広域連合ごとの試算額にかなりの格差が出ている。年金生活者にとって基礎年金額 ( 66,000 円 ) のうち、介護保険料と医療保険料を合わせると 1 万円程度を支払わねばならず、かなりの負担である。
健康保険の家族は従来保険料を徴収されていなかったが、後期高齢者医療制度に加入することにより、保険料を負担することとなる。健康保険の家族には、2010 年3 月までは軽減措置が用意されており、初めの半年間は保険料は賦課されないが、その後半年間は保険料の1 割が、その後は5 割が賦課され、2010 年4 月からは軽減措置がなくなり、支払わなければならない保険料が 10 割となり、急に倍に跳ね上がる。
( 3 ) 都道府県ごとの診療報酬を認める。
これは、都道府県ごとに「医療費適正化計画」という名で医療費をできるだけ削減する努力目標を立てさせ、その目標を達成できたところには、全国一律であるべきはずの診療報酬を保険者側に有利となる診療報酬にすることが認められている。
( 4 ) 患者一部負担を除く給付財源は、公費5 割、後期高齢者支援金4 割、後期高齢者の保険料1 割とする。
現役世代の負担として、健康保険組合など、各保険者から徴収していた現行制度の「老人保健拠出金」はなくなるが、現役世代の保険に上乗せして徴収される「後期高齢者支援金」として残ることになる。
現在、国民健康保険では保険料を滞納しても保険証を取り上げられることはないが、後期高齢者医療制度では被保険者が保険料を滞納した場合、通常より有効期間の短い被保険者証(短期証)を発行し、1 年滞納した者に対して被保険者証の返還を求め、医療機関での窓口負担は全額( 10 割)となる。
厚生労働省は後期高齢者医療制度で、また、複数の病気にかかっていることも多い75 歳以上の患者の心身状態を 1 人の医師が総合的に診療する「高齢者担当医 ( 仮称 )」制度を導入し、患者 1 人に 1 人の主治医とし、高齢者が複数の医療機関にかからないようにすることを検討している。新制度の導入に伴い、75 歳以上を対象とした診療報酬に後期高齢者診療料を新設し、医学管理料、検査料、処置料、画像診断料を包括定額制とする方針である。日本の医療制度の大きな長所であるフリーアクセスを制限し、包括化と併せて医療費の削減を図ろうとしている。
現行の老人保健制度と後期高齢者医療制度の比較を表 1 にまとめた。また、両者の財源構成の比較は図 1 に示すように、給付費に対して約 1 割の公費の削減となっている。
現行の「老人保健拠出金」の額は、その組合の老人医療費の実績と全保険者の老人加入率の平均値を基準に決められていた。
図 2 に示すように、老人保健拠出金は、老人加入割合の違いによる各保険者間の負担の不均衡を是正するため、どの保険者も老人加入割合が同じであると仮定して算定されることになっており、そのため国民健康保険にくらべ老人加入率の比較的低い健康保険組合などは実際の老人医療費よりも多くの拠出金を負担しなければならず、この拠出金が今日の健康保険組合財政の大きな負担となっている。
この「老人保健拠出金」に代わる「後期高齢者支援金」は、国民健康保険も、社会保険加入者も均等に負担することとなっており、加入者一人あたり、後期高齢者医療給付費( 10.3 兆円)×支援金負担率( 44% )÷後期高齢者を除く総加入者数( 1 億1300 万人)=40,100 円と試算されている。2005 年の医療制度改革大綱では、後期高齢者支援金は、国民健康保険・被用者保険の加入者数に応じた支援とし、人口構成に占める後期高齢者と現役世代の比率の変化に応じてそれぞれの負担割合を変えていくとしている。高齢者の保険料による負担割合(約 1 割)は高まり、現役世代の支援の割合は約 4 割を上限として減っていくため、高齢化が進むほど高齢者の保険料負担割合は増えていくことになる。
都道府県ごとの診療報酬と同様に、後期高齢者支援金の分配金については、各広域連合における医療費適正化計画における特定健診・保健指導の実施率、メタボリックシンドロームの減少率、平均在院日数の短縮日数、療養病床の削減数の数値目標管理が適切に行われているかどうかをチェックし、その結果によって保険者に対する分配に差がつけられる仕組みとなっている。つまり、分配金が減額された広域連合は保険料の引き上げを余儀なくされ、都道府県間で格差が生じることとなり、お互いの競争意識を促し、医療費の伸びの抑制を図ろうとしているのである。
この制度によると、後期高齢者の保険料負担が上昇し続けていくことは容易に想像できる。しかし個々の後期高齢者が支払うことができる保険料は限られているので、財源の総額に抑制がかかり、コストをかけた医療を行うことが困難になり、後期高齢者に対する医療の質の低下を招くことは必定である。
この後期高齢者医療制度に対して、日本医師会はどのように対応しているのであろうか。「グランドデザイン 2007 」において、日本医師会案として次のように提案している。
「保障」の理念の下、9 割を原則国庫が負担し、保険料と患者一部負担を合わせて医療費の1割とする。また、外来は出来高払い、入院も原則出来高払いとし、慢性期の一部を選択制の包括払いとし、地域間格差を助長しかねない都道府県単位の特例診療報酬は認めない。
しかし、日本医師会案のように、給付費のほとんどを公費とした場合、政府が様々な制約を容易に課すことができるようになるのではないかと危惧する。他にも、後期高齢者医療制度に異を唱える意見が多々あるが、そもそも 75 歳で国民の医療提供体制を区切ってしまう愚かな制度を施行しようとしている国は、世界でもただひとつ、日本だけなのである。
1996 年に厚生労働省は「 2025 年の国民医療費は 140 兆円」という過大な医療費予測を発表し、人口構成の変化で支える側の人数が減り、このまま社会保障負担が増大し続ければ国が亡びるかのように人々の不安を煽った。しかしこの予測は次々に減額修正されている。最近医療費の伸びはさらに鈍化しており、財団法人医療経済機構の予測によれば2025 年の医療費は「 50~52 兆円」程度と推計されている。社会保障は国を亡ぼすという世論を誘導するために厚生労働省の推計が過大に提示されてきたと考えられる。近年、財務省主導で財政削減が叫ばれ、厚生労働省もその流れの中で社会保障費を減少させるため、医療費を抑制し、この流れが日本の医療構造をゆがめ、救急や産科や小児科医療にまでほころびが出ていることは周知の事実である。高齢者の医療費を削減することが、医療費の総額を抑制するために重要である、という政府の方針により、高齢者医療の財源の問題が「高齢者医療のあり方」にすり替えられ議論されてきた。
また、医療費を支払う健康保険組合について述べれば、健康保険組合が支払わねばならない「老人保健拠出金」により財政状況が悪化するため、老人保健制度のための財源を拠出することは困難であると健康保険組合が主張し、老人保健拠出金の支払い拒否が提起され、滞納問題が発生した。若年者とは別立ての後期高齢者医療制度が生み出され、「老人保健拠出金」を「後期高齢者支援金」に資金源を変更した背景は、高額な高齢者医療費を誰が払うのかという保険者間の利害対立である。
高齢者にふさわしい医療を議論し、実現することは望ましいが、「高齢者だけを対象とし、高齢者だけにふさわしい医療制度」というものは存在せず、75 歳の誕生日を境にして医療の提供体制が変わってしまうことはあってはならない。
高齢者は有病率が高く、複数の疾病を有する場合が多いため複数の医療機関を受診することは当然である。2006 年度の神戸市国保の資料によれば、75 歳以上の高齢者の年間医療費は若年者の3.8 倍であったが、一つの医療機関における 1 か月間の医療費を比較すると、若年者 1.96 万円に対し、75 歳以上の高齢者医療費は若年者の 1.4 倍であった。このデータから高齢者が複数科を同月内に受診している実態は類推されるものの、一つの医療機関に過剰な回数受診をして、医療費を浪費しているのではないことを示唆している。
検査や投薬にしても、現在は病院-診療所間、診療所-診療所間連携や医薬分業が発達しており、重複して検査や投薬が行われるケースは少ないと現場の医療を担当する医師として実感している。
この医療実態から、高齢者は複数科の受診を必要としていると判断できるので、フリーアクセスを確保し、本人が診てもらいたい診療科にいつでも受診できる環境を整備しておくことこそが重要である。従って、「高齢者医療担当医制度」といった特定の医師と特定の医療機関に受診を限定する制度は高齢者の身体特性に合わぬ発想である。
なお、この章の内容については第 2 部に詳述する。
健康寿命が異なる男女差を考慮することもなく、一律75 歳以上の国民を別立ての保険制度とすることに医学的な根拠は全くなく、財源論から生じた議論を「後期高齢者にふさわしい医療のあり方」と議論をすりかえただけである。「高齢者にふさわしい医療」はあっても、それを「高齢者にふさわしい医療制度」とすりかえることは不適切である。
保険者間の利害対立が高齢者医療制度問題を引き起こしているのであるならば、解決策は明白である。全国民が一つの健康保険組合の被保険者であれば、高齢者だけを切り分けて保険制度を別に構築するといった発想は起こらなかった。我々は、保険者を統合し、公的健康保険を一元化することが本質的な解決策であると考える。
当委員会は、会長諮問「高齢者医療のあるべき姿」について、高齢者医療の特性を検討し、2008 年度から施行される「後期高齢者医療制度」を中心に高齢者医療の問題点を洗い出し、その対策を示した。
後期高齢者医療制度は暦年齢だけで加入が判断され、個人差や性差などは全く考慮されておらず、その「 75 歳」という年齢にも医学的根拠は見あたらない。「医療費適正化計画」で都道府県にいかに医療費を使わないかを競わせ、「高齢者担当医 ( 仮称 )」によりフリーアクセスを阻害し、「医療費包括化」により医療の質が低下しかねない。しかも後期高齢者に対し罰則を制定し、保険料滞納者は保険証を取り上げられ医療費が全額自費負担となるため、受診が抑制される。そうなれば受診は遅れ、疾病が悪化する。医療費削減のために高齢者の命を切り捨てようとしていることは明白である。この高齢者医療の問題について、医師会内でさえ充分に把握されていないと思われるので、まず医師会内部で急ぎ啓発し、専門集団である医師会から国民に向け、広く発信していかねばならない。当委員会は、いつでもどこでも誰でも必要な医療が受けられる体制作りを目指し、日本が世界に誇る国民皆保険制度の堅持と保険者の一元化を提案する。この答申書が問題解決の一助となることを期待する。
図1. 新旧制度の財源の内訳
図2. 老人保健拠出金算出法
第二部
後期高齢者医療制度が施行される理由を考えるにあたり、日本の公的医療保険制度について検証してみたい。
医療費亡国論は、1983 年に「社会保険旬報」に掲載された当時の厚生省保険局長吉村仁氏の「医療費をめぐる情勢と対応に関する私の考え方」という論文の中で、このまま租税、社会保障負担が増大すれば日本社会の活力が失われる、と述べたことに端を発しており、この考えも日本の公的医療保険制度を崩壊させる要因となっている。1996 年に厚生労働省は「 2025 年の国民医療費は 140 兆円」という過大な医療費予測を発表し、人口構成の変化で支える側の人数が減り、このまま社会保障負担が増大し続ければ国が亡びるかのように人々の不安を煽った。しかしこの予測は次々に減額修正され、同省が 2001 年に出した予測では「81 兆円」に、さらに2 年後の 2003 年予測では「70 兆円」に修正されている。最近医療費の伸びはさらに鈍化しており、財団法人医療経済機構の予測によれば 2025 年の医療費は「50~52 兆円」程度と推計されている。厚生労働省の推計は世論を誘導するために過大に提示されてきたものと考えられる。近年、財務省主導で財政削減が叫ばれ、厚生労働省もその流れの中で社会保障費を減少させるため、医療費を抑制し、現在日本はアメリカ、イギリス、イタリア、カナダ、ドイツ、フランスとの比較で医療費、医師数ともに最下位になっている。この流れが日本の医療構造をゆがめ、救急や産科や小児科医療にまでほころびが出ていることは周知の事実である。高齢者の医療費を削減することが、医療費の総額を抑制するために重要である、という政府の考え方により、高齢者の医療制度が「高齢者医療のあり方」という問題にすり替えられ議論されてきた。
また、医療費を支払う健康保険組合について述べれば、第一部に記載したように、現行の「老人保健拠出金」の額は、その組合の老人医療費の実績と全保険者の老人加入率の平均値を基準に決められており、国民健康保険に比し、老人加入率の比較的低い健康保険組合は実際の老人医療費より多くの拠出金を負担しなければならず、この拠出金が多くの健康保険組合財政の財政を悪化させているといわれている。
昭和 40 年 ~ 50 年代は、企業が高度成長を示した時期であり、若く健康な社員から潤沢な保険料を徴収し、財政状況はきわめて良好であり、保養所を建設したり、福利厚生施設を充実させたりすることができた。当時 55 歳前後であった定年退職後の医療に関しては、国民健康保険にゆだねていたため、経営状態はきわめて良好であった。
日本人の平均寿命は着々と伸び、人口構成が高齢化し、少ない成人が多くの高齢者の社会保障を支えなければならなくなってきた。健康保険組合においては、老人保健拠出金の滞納や支払い拒否が生じ、老人保健制度のための財源を拠出することは困難であると健康保険組合が主張し、その削減が重要な課題として財界から政府に提案されてきた。今後、団塊の世代が 60 歳代に移行し、高齢者医療費を中心に医療費の大幅な増加が見込まれ、現状の医療保険制度では継続が困難であるとし、新たな医療制度の構築を課題として、2006 年 6 月に医療制度改革関連法が成立した。政府の財政悪化に伴う公的補償の削減計画と合わせ、健康保険組合が支払っていた老人保健拠出金を減らすために、高齢者医療制度の問題が「高齢者医療のあり方」とすり替えられ、後期高齢者に限定した新たな医療保険制度が立案されることとなった。
人口の高齢化とともに有病率は増え、医療技術の進歩とともに医療費が増えることは避けられない。2002 年の厚生労働省のデータでは、医療費のうち 65 歳以上が 49%、70 歳以上が 38% を占めているが、「高齢者の医療には無駄な金がかかりすぎる」とか「高齢者の死亡直前に多額の医療費が浪費されている」といった論調には根拠が希薄である。社会保障・人口問題研究所の府川らの論文には高齢者の死亡前の医療費が高いといった根拠はないと記載されており、老人終末医療費による医療費危機など存在しない、と我々は考えている。
また、無駄な高齢者医療費の議論については、高齢者は有病率が高く、複数の疾病を有する場合が多いため、複数の医療機関を受診することを避けることはできない。神戸市国民健康保険の資料によれば、75 歳以上の方の年間 ( 2006 年度 ) 医療費は 89.7 万円と若年者23.6 万円の 3.8 倍を要しているが、この数字は当該年齢層の総医療費をその年齢層の総人口で除したものであるため、有病率の高い高齢者の平均医療費はこのような統計処理をすれば高くなる。
1枚あたりのレセプト(ひとつの医療機関における1か月間の医療費)を比較すると、若年者 1.96 万円に対し、75 歳以上の高齢者は 2.78 万円であった。このデータから高齢者が複数の医療機関を同月に受診している実態は類推されるが、同一医療機関に必要以上の回数受診をして、医療費を浪費しているとは考えられない。
検査や投薬の重複がよく問題にされているが、現在は病院-診療所間や診療所-診療所間の連携や医薬分業が発達しており、現場の医療を担当する医師としては、検査や投薬の重複は少ないと実感している。
またこの医療実態から導き出される結論は、複数科にわたる受診を必要とする高齢者であるからこそフリーアクセスを確保し、本人が受診したい診療科にいつでも受診できる環境を整備しておくことが重要であり、「高齢者担当医 ( 仮称 )」といった特定の医師に受診を限定する制度は高齢者の身体特性に合わず、迅速な診断や治療の機会を奪い、病状の悪化を来す可能性がある。
介護保険制度は性急に導入されたが、本来、医療と介護は分離して考えられるものではない。介護保険制度による介護保険料は増加傾向を示し、今後、後期高齢者医療制度が施行された場合には、医療保険料も増加することが予想され、医療保険料と介護保険料を合算した高齢者の保険料負担額は上昇し続け、高額な負担を強いられる制度設計となっている。
また入院医療を在宅医療に急激に転換しようとする施策は誤りである。家族による介護が医療経済として考慮されていなかったため、今までは在宅医療が入院に比べ安価であったが、現在の社会状況では、従来は介護の主体であった女性が仕事を持つようになり、また核家族化が進んでいるために、家族の介護による医療費の削減は以前ほど期待できなくなっている。在宅医療は入院医療に比べ集約した医療が行えないために、より多くの時間やマンパワーが必要であり、本当は費用のかかる医療である。
「QOL の低い状態で生きることは無意味」といった高齢者の存在権すら否定するような議論は厳に慎むべきである。
多額の「老人保健拠出金」が健康保険組合財政を圧迫していることが後期高齢者医療制度立案の根幹であるならば、解決策は保険者の統合であり公的医療保険の一元化である。
後期高齢者医療制度についての議論は、財源論から生じたものであるにもかかわらず、「後期高齢者にふさわしい医療制度」とすりかえられ、基本的人権さえも無視した議論がおこなわれてきた。「高齢者にふさわしい医療」を論議することは有意義であるが、それを「後期高齢者にふさわしい医療制度」にすりかえて議論することは意味がない。
民間の保険会社による医療保険が中心の米国では高齢者や障害者に対する公的医療保険としてメディケアがあるが、高齢者の保険制度を別に構築することは、世界の医療保険制度を見てもまれであり、現役世代が高齢者を支えるという社会保障の概念から、すべての国民がひとつの健康保険の被保険者であれば、高齢者を切り離すとは発想しなかったと思われる。75 歳以上の国民を別立ての医療保険制度に組み込む根拠は見あたらない。
現在、健康保険組合は企業に属した福利厚生部門としての性格を強く有しているため、利害の対立した保険者を一元化することには困難が予想され、これまで誰もその具体策を提示できなかったと考えられる。健康保険組合は企業と別個の目的や機能をもつ組織となり、企業への依存を捨てて被保険者サービス向上を図るべきである。我々は保険者の一元化に対する具体的な戦略をここに提示する。
まず健康保険組合の解散を促し、政府管掌健康保険に一元化することである。このためには企業の健康保険組合の持っている利権に配慮する必要がある。所得水準が高く、財源的にも恵まれている健康保険組合は経営状態も良好で、相対的に加入者にとっても割安な保険料で運営されているので、その権益を放棄させるのは困難であるが、高齢者保険制度における負担金と、2008 年度における政府管掌健康保険に対する財源調整で運営状況は厳しくなってきている。
多くの企業は従業員の保険料の 50% を企業負担としているので、この部分に国が助成金を出す形で政府管掌健康保険への移行を促す政策的配慮が必要である。具体的には健康保険組合を解散して政府管掌健康保険に移行した企業には、3 年間に限り 1 割相当分を国から補助金として助成し、40% を企業、10% を国庫負担とする。そしてこの移行措置は時限制度とし、5 年間程度の期限で打ち切りとする。一方加入者にとっても政府管掌健康保険への移行が有利なものとなるように、3 年間に限って窓口負担を減額し2 割とする。これらの施策で多くの健康保険組合は解散し、5 年後には政府管掌健康保険に統合することが可能となるであろう。
問題は国民健康保険である。国民健康保険の財源基盤はきわめて不安定であり、改革はより困難であるが、ここでは政府が思い切った国民健康保険改革を行わなければならない。まず、国民健康保険組合を運営する主体は「市町村」などの地方自治体であり、この有効な機能のために、市町村自治体の職員健康保険組合を解散し、職員は自治体の運営する国民健康保険組合に加入させることが、その地域の国民健康保険を健全に運営するための第一歩である。神戸市職員の健康保険組合を例にとると、今なお保険料の 56% を神戸市が負担しており職員の健康保険料の負担率は 44% に過ぎず、裏給与ともいえる実態がある。市職員が市民の視点に立って考える原点として、市職員と市民の保険組合を統合することは大変有意義である。また、市民とともにあるべき医師、歯科医師、薬剤師国民健康保険も解散し、市町村運営の国民健康保険に統合されることが必要である。建設国民健康保険など他の国民健康保険組合も解散して政府管掌健康保険か市町村国民健康保険への統合を選択する。これらの措置を起爆剤として保険料の収納率を高めるとともに、自営業等は所得の補足率が低く、申告所得で保険料を決定することに問題があるため、単に所得本位で徴収している保険料体系も根本的に改め、保険料収入が総運営費の 60~70% 程度になるまで国民健康保険の財源内容を改善させた上で 5~6 年後を目処に政府管掌健康保険と統合することにより最終的な一元化を達成する。
すべての国民が同条件の公的健康保険に加入することにより、高齢者医療制度といった無意味な議論を行う必要はなくなる。
2003.3.28
「健康保険法等の一部を改正する法律附則第2条第2項の規定に基づく基本方針 ( 医療保険制度体系及び診療報酬体系に関する基本方針について ) 」が閣議決定され、新たな高齢者医療制度の創設及び保険者の再編・統合等、医療保険制度体系に関する改革については、平成 20 年度に向けて実現を目指すこととし、法律改正を伴わずに実施可能なものについては順次実施に移し、法律改正を伴うものについては概ね 2 年後を目途に順次制度改正に着手することとされた。
2003.7.16
医療保険制度改革について検討を行うため、社会保障審議会に医療保険部会が設置された。
2004.9.14
医療提供体制の改革について検討を行うため、社会保障審議会に医療部会が設置された。
2005.6.21
「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(いわゆる「骨太の方針」)2005」が閣議決定され、超高齢社会における社会保障制度の持続可能性を確保する観点から、「医療費適正化の実質的な成果を目指す政策目標」について、「具体的措置の内容とあわせて平成 17 年度中に結論を得る。その上で、平成 18 年度医療制度改革を断行する。」とされた。
2005.10.19
平成18年度医療制度改革について、広く国民の議論に供するためのたたき台とし
て、「医療制度構造改革試案」がとりまとめられ、同日厚生労働大臣を本部長として
設置された「医療構造改革推進本部」において決定・公表された。
2005.11.30
社会保障審議会医療保険部会が、「医療保険制度改革について(意見書)」をとりまとめた。
2005.12.1
政府・与党医療改革協議会により、「医療制度改革大綱」がとりまとめられた。
2006.1.31
改革の基本的考え方等を幅広く周知するための「医療制度改革大綱による改革の基本的考え方」が、医療構造改革推進本部において作成・公表された。2006.2.10 第 164 回通常国会に「健康保険法等の一部を改正する法律案」及び「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案」が提出された。
2006.6.14
第 164 回通常国会において、「健康保険法等の一部を改正する法律(平成 18 年 6 月 21 日法律第 83 号)」及び「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律(平成 18 年 6 月 21 日法律第 84 号)」が成立した。
「健康保険法等の一部を改正する法律附則第2条第2項の規定に基づく基本方針」
(平成 15 年 3 月 28 日閣議決定)
http://www.mhlw.go.jp/topics/2003/03/tp0327-2.html
経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005(平成 17 年 6 月 21 日閣議決定)
http://www.keizai-shimon.go.jp/cabinet/2005/decision0621.html
医療制度改革試案(平成 17 年 10 月 19 日厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/10/tp1019-1.html
医療保険制度改革について(意見書)(平成 17 年 11 月 30 日社会保障審議会医療保険部会)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/11/s1130-6a.html
医療制度改革大綱(平成 17 年 12 月 1 日政府・与党医療改革協議会)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/taikou.pdf
医療制度改革大綱による改革の基本的考え方(平成 18 年 1 月 31 日厚生労働省)
(1) 表紙、目次
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/taikou01.html
(2) 医療制度改革大綱の構成
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/taikou02.html
(3) 安心・信頼の医療の確保と予防の重視
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/taikou03.html
(4) 医療費適正化の総合的な推進
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/taikou04.html
(5) 医療保険制度体系の見直し
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/taikou05.html
健康保険法等の一部を改正する法律案(平成 18 年 2 月 10 日第 164 回通常国会)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/164.html
骨子
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/kanrenhouan01a.html
良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/164.html
骨子
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/kanrenhouan02a.html
参考資料 1 - 18 ページ
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/kanrenhouan02b01.pdf
参考資料 19 - 33 ページ
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/kanrenhouan02b02.pdf
平成 18 年度医療制度改革関連資料(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/index.html
コスト、アクセス、クォリティ、医療における三つの条件の並立。20世紀の最後に、世界中で日本にだけ訪れたこの奇跡は、消えてしまった。2000年からの介護保険という実験の次に、後期高齢者を既存の公的医療保険制度から切り離す実験が行われる。この実験は、その次には勤労世代の公的医療保険の変革につながっていく。それは、日本の古き良き医療との決別である。
本答申書の目的は、日本の医療制度、中でも高齢者の医療における様々な制度上の問題を明らかにするとともに、将来、それらの問題を解決していくときの一助とすることにある。これはすなわち、政治という次元で医療制度を改善していく基礎にすることである。
そのため、この答申書を公開するにあたっては、高齢者に対する医療制度にさまざまな問題があることを広く世間に知らしめ、政治の場に働きかけていく力を生み出せるように、効果的な啓発活動として本答申書が使われる努力と工夫が必要である。
これまで、日本医師会および日医総研をはじめ、全国各地方の医師会で、様々な数多くの意見書や答申書が作られてきたことと思われるが、それらは各地方医師会の会報か、よくて日医雑誌や日本医事新報に掲載されるところまでで、広く一般市民への啓発に役立つものとはならなかった。それどころか、それらの情報が医療問題に関心が低い医師にまでは届くことが少なかった。
このことを省みて、医師が国を医する上医として働くことができるように、医師が発信する情報や意見は、医師に対してのみならず、広く一般に伝わり、理解を広めることが求められる。
人々が医療制度に関して持っている知識や見解は多様であるので、公開対象ごとに最適なものを、しかも効果的な方法で提示するといった広報戦略が伴わなければならない。そこで、本答申書は平易な記述のものも用意した。
本答申書の正式版を正規の医師会の刊行物として世に出す以外、平易化したものを、紙媒体と電子媒体あわせて、国会議員、内閣と厚生労働省、兵庫県、神戸市の地方議会議員など厚生、医療施策に携わる方々、日本医師会、全国の都道府県医師会および個々の医師、そして報道機関で厚生、医療行政の報道に携わる方々、そしてインターネット上で情報を目にすることができる多くの方々の目に触れるようにする。本答申書をご覧になられた方々が、日本の医療の現場の苦悩と危惧に少しでもお気付きくださることを望む。
Q1 後期高齢者医療制度は、なぜ創設されるのですか?
○ 第一に、75歳以上の後期高齢者の医療費は、高齢化の進展に伴い、今後、ますます増大すると過大に見込んでいます。この医療費を安定的に確保するためには、医療費の負担について国民の皆様に騙されていただく必要があります。
このため、現役世代と高齢者の負担を明確にし、また、世代間で負担能力に応じて公平に、と言いつつ高齢者に負担していただくとともに、公費(国庫負担)を減らし、国は支えない仕組みとします。
また、これまでの国民健康保険では市区町村単位で運営されていましたのを都道府県単位の保険制度とし、高齢者の医療をばっさりと切り捨てていきます。
○ 第二に、後期高齢者は、複数の病気にかかったり、治療が長期にわたる傾向がありますが、こうした特性を踏まえず、高齢者の方々の生活から医療を奪います。
○ このため、75歳以上の方を対象とした独立の医療制度として、「後期高齢者医療制度」が創設されることとなりました。
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後期高齢者医療制度に関するQ&A
出典
東京都後期高齢者医療広域連合 東京いきいきネット http://www.tokyo-ikiiki.net/topic/data/qa.pdf
厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/ iryouseido01/dl/info02d-1.ppt
Q1 後期高齢者医療制度は、なぜ創設されるのですか?
○ 第一に、75歳以上の後期高齢者の医療費は、高齢化の進展に伴い、今後、ますます増大することが見込まれています。この医療費を安定的に確保するためには、医療費の負担について国民の皆様のご理解・ご納得をいただく必要があります。
このため、現役世代と高齢者の負担を明確にし、また、世代間で負担能力に応じて公平に負担していただくとともに、公費(税金)を重点的に充てることにより、国民全体で支える仕組みとします。
また、これまでの国民健康保険では市区町村単位で運営されていましたが、都道府県単位の保険制度とし、高齢者の医療をしっかりと支えていきます。
○ 第二に、後期高齢者は、複数の病気にかかったり、治療が長期にわたる傾向があり、こうした特性を踏まえた、高齢者の方々の生活を支える医療を目指します。
○ このため、75歳以上の方を対象とした独立の医療制度として、「後期高齢者医療制度」が創設されることとなりました。
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